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恩方育成園は、社会福祉法人東京都知的障害者育成会が運営する障害者支援施設です。

TEL. 042-652-3825

〒192-0154 東京都八王子市下恩方町2794-1

ごあいさつMessage

ノーマライゼーション 「普通の存在」
~忘れてはいけない!「相模原障害者施設殺傷事件」~

                      施設長 久保田 美幸

 新緑も深まり、鳥のさえずりと共に親鳥が餌を運び入る姿にひなの鳴き声が響き渡り、恵の梅雨を迎え、旅立ちの夏に向けて子育てが行われています。当園においても新任職員が先輩や利用者からの学びを通して、日々葛藤を繰り返しながらも成長していく姿にエールを送ります。
 新型コロナウイルス感染症が発生してから3年目に入り、世の中はウィズコロナとして少しずつ動き始めていますが、4回目のワクチンや第7波の警戒など未だ終息は見えない状況が続く中、今もなお向き合い続けている医療従事者及び福祉従事者を始めとするエッセンシャルワーカーに重ねて「ありがとう」と感謝のエールを贈り、経口薬など有効な治療法による早期終息を心より願います。
 夏を迎えるこの時期になると忘れることができない、いや、決して忘れてはいけない。2016年7月26日未明に、「障害者は生きている価値はない」と障害者支援施設の利用者を殺傷した凄惨な事件であった「相模原障害者施設殺傷事件」、加害者は元職員と信じがたい事件です。
 1950年代、デンマークのエルス・エリク・バンク・ミケルセンが「障害者は、他の市民と平等の存在であること。同じ一般法で援助されるべきであること。」と主張し、世界で初めて「障害のある人たちに、障害のない人々と同じ生活条件を作り出し、同じ生活と権利が保障されること」を理念とした「ノーマライゼーション」を提唱され、デンマークの知的障害児者親の会が、「①1,500人収容する大型施設を20~30人の小規模な施設にすること。 ②社会から分離されていた施設を親や保護者の生活する地域に造ること。 ③ほかのこどもと同じように教育を受ける機会をつくること。」と3つのスローガンを掲げ、1959年にノーマライゼーション法とも呼ばれる知的障害者福祉法が制定されました。1960年には、スウェーデンの知的障害児者連盟のベンクト・ニィリエが、バンク・ミケルセンのノーマライゼーションの理念に影響を受け、一般の人々と同等のノーマル(普通)なライフサイクルを送る権利があるとして、「①一日の普通のリズム ②一週間の普通のリズム ③一年間の普通のリズム ④当たり前の成長の過程をたどること ⑤自由と希望を持ち、周りの人もそれを認め、尊重してくれること ⑥男性、女性どちらもいる世界に住むこと ⑦平均的経済水準が保障されること ⑧普通の地域の普通の家に住むこと」と“ノーマライゼーションの8つの基本原理”を提唱しました。
 その動きが起因となり障害者権利条約が制定され、障害者総合支援法における目的や基本理念となり、共生社会の実現に向けた福祉計画等が策定されています。
 当事者は、「相模原障害者施設殺傷事件」をどのように捉えているのか。「わたしたちは『しょうがいしゃ』であるまえに人間だ」をスローガンとして、「自分たちのことは自分たちで決める」という、親や職員が決めるのではない『自己決定』から始まる当事者運動を展開しているピープルファーストジャパンでは、事件以後に毎年開催されているピープルファースト大会で事件を踏まえた要望書の提出やシンポジウムの開催などの当事者運動の活動報告が行われ、2度と起きてはならない重大な事件として捉え、自らの“存在”を自らの手で社会に訴えています。
 「私にとっての利用者とは何か」私たち専門職として根幹を成す問です。彼ら彼女ら(利用者)の「存在」は、「だれととりかえることができない“存在”」であり、彼ら彼女らがいるから私たちの存在もあります。ある法人の理事長が「支援の本質は関係性の中にあります。・・・障害のある人と支援者が、相互に影響しあい、響きあい、お互いの存在を尊重し合う、まさに対等な関係があって成り立ちます。」と話されています。私たち一人ひとりは、まだまだ未熟な点も多く、時に葛藤を重ねながらチーム(組織)で支え合い、彼ら彼女らと共に体験し共感し感動を積み重ねていく過程に互いの成長があり、本人らしい自己実現があります。

2022年7月  

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